これまでの前向きの臨床試験において,ICDは抗不整脈薬よりも高い生命予後改善効果を示すことが認めてられおり,その効果は冠動脈疾患例
と同等であると考えられる45),296),297).しかし,臨床試験が行われた海外では非虚血性拡張型心筋症を基礎とする持続性心室頻拍,心室細動の
頻度は冠動脈疾患に比して低く,統計学的にICDの生命予後改善効果を証明するに至っていない.2004年にCIDS,AVIDの非虚血性拡張型心筋
症256例のメタ解析の結果が報告されたが,ICDにより31%の死亡率改善が認められたものの,統計学的な有意差を認めなかった(p=0.22)306).
症例数が少ないことが関係していると考えられ,理論的にもICDは非虚血性拡張型心筋症の2 次予防に有効であると結論づけてよい.
非虚血性拡張型心筋症に伴う持続性心室頻拍に対するカテーテルアブレーションは冠動脈疾患に伴う場合に比べて不整脈基質が心筋の深層や
心外膜側に存在することが多いとされ,その成功率は高くない307).また,カテーテルアブレーションによってすべての不整脈基質が除去されるわけ
ではなく,進行性の疾患であることを考えると,たとえ成功したと判断されてもICDは積極的に適応されるべきである.
不整脈の非薬物治療ガイドライン(2011年改訂版)
Guidelines for Non-Pharmacotherapy of Cardiac Arrhythmias(JCS 2011)