AVID,CIDS,CASHでは70~80%の患者が冠動脈疾患を有しており,ICDが冠動脈疾患に伴う致死的不整脈に高い二次予防効果を示すことは
明らかである45),296),297).これら試験の平均左室駆出率は32~ 45%であり,特に35%以下の患者においてより高い効果が期待できる.
カテーテルアブレーションによる頻拍の根治率は非虚血性心筋症に比べて高く,単形性心室頻拍や心内膜側に明確な瘢痕が存在する患者にお
いて試みられる299)-303).しかし,すべての不整脈基質が除去されるわけではなく,アブレーション手技が成功と判断されてもICDの適応について
検討されるべきである299),304).
陳旧性心筋梗塞例は長期にわたり心室不整脈の基質を有すると考えられ,長期的視野に立った治療戦略を立てる必要がある.また,活動性のあ
る心筋虚血は不整脈基質を修飾し,より高い不整脈源性を招来するため,冠血行再建による虚血の解除が重要である305).急性冠症候群の急性
期(発症48時間以内)に出現する持続性心室頻拍や心室細動は虚血の解除やその後の不整脈基質の安定化によって再発の可能性は低く,必ず
しもICDの適応とならない305).一方,心筋梗塞発症の48時間以降に出現する持続性心室頻拍や心室細動はその後も再発する危険性があり,ICD
の適応について考察されるべきである305).
不整脈の非薬物治療ガイドライン(2011年改訂版)
Guidelines for Non-Pharmacotherapy of Cardiac Arrhythmias(JCS 2011)