ClassⅠ:
1. 有意な流出路圧較差があり,圧較差に基づく症状によりQOL低下を来たす閉塞性肥大型心筋症で,他にペースメーカ植込みの適応となる理
由を有する場合
(薬剤による徐脈を含む).
ClassⅡ a:
1. 有意な圧較差があり,圧較差に基づく症状によりQOL低下を来たす閉塞性肥大型心筋症で,症状と圧較差が関連しており,薬物治療が無効
か副作用のため使
用不能か,他の方法が不適当な場合
ClassⅢ:
1.圧較差がなく,徐脈による植込み適応もない場合.
閉塞性肥大型心筋症に対するペースメーカ療法は1968 年のGilgenkrantzら110),1975 年のHassensteinら111)の報告以来, 小規模な臨床経験
が報告され112)-114),1990年代に入って比較的大規模な試験結果が報告された31).本治療法は左室流出路狭窄による症状改善に有効であると
報告され,その効果は流出路圧較差改善と相関すると考えられてきた.その後,Maronら115)はペースメーカ療法にはプラセボ効果が大きいとし,
その治療効果は高齢者以外では十分ではないと報告した.一方,PIC(Pacing in Cardiomyopathy)試験では116),一時的ペーシングを行い,圧
較差が悪化しない症例に対しペースメーカを植込み,慢性ペーシングの有用性が支持されている.一方で以前より外科治療が行われ,経皮経冠的
心室中隔心筋壊死作成法(PTSMA)も保険収載され,これらと比較検討した報告はない.しかしながら,これら侵襲的治療法に比べてペースメーカ
療法は安全性が高く,症例の選択と植込みを注意深く行うことにより,より有効性が得られると思われ,PTSMAや外科治療を考慮する際にはペー
スメーカ植込みを先に考慮すべきである.ただし現時点では閉塞性肥大型心筋症に対する保険適用は認められていない.なお,有意とされる圧較
差は,安静時が30mmHg以上,誘発される圧較差が50mmHg以上である97)(参考値).
不整脈の非薬物治療ガイドライン(2011年改訂版)
Guidelines for Non-Pharmacotherapy of Cardiac Arrhythmias(JCS 2011)