1969年,ScherlagらによるHis 束心電図の記録以来,心房,心室の電位記録や電気刺激法を含む心臓電気生理検査は広く普及し,徐脈性不整
脈,頻脈性不整脈の機序解明や非薬物治療の適応決定および評価に不可欠な検査となっている.
徐脈性不整脈に対する電気生理検査は標準12誘導心電図,ホルター心電図,負荷心電図の補助的な役割を有する.しかし,電気生理検査によ
り,めまい,失神等の自覚症状と心電図所見が一致しない場合の評価や,各種徐脈性不整脈の病型および重症度分類が可能となり,治療法の選
択,ペースメーカ適応決定,ペースメーカの機種選択に重要な情報をもたらす.
頻脈性不整脈における電気生理検査の役割は,近年の非薬物治療の発達に伴い大きく変遷してきた.致死的不整脈では植込み型除細動器に
よって予後の改善がもたらされている.カテーテルアブレーションでは頻拍維持に必須の部位の同定等,電気生理検査は重要な役割を果たし,
多くの頻脈は根治可能となった.
頻脈における電気生理検査の役割は,診断,機序の決定および非薬物治療の適応と手段の決定にあると言える.
不整脈の非薬物治療ガイドライン(2011年改訂版)
Guidelines for Non-Pharmacotherapy of Cardiac Arrhythmias(JCS 2011)