小児に対するICD植込みは少ないが375),これは虚血性心疾患等の器質的心疾患に伴う致死的不整脈が少ないこと,小児蘇生患者が救命され
る確率が成人に比して低いこと376),等が関係している.小児期の心臓突然死の原因の上位は心筋症,先天性心疾患,不整脈が占め377),特に不
整脈死が多いこと344),378)から,救命された患者には今後ICD植込みが行われる頻度が増加すると考えられる.実際に我が国での小児の救命率
は上昇しており,この背景には,我が国における自動体外式除細動器(AED)の普及,一般市民へのBasic Life Support(BLS)の重要性の啓発
に加え,2003年から救急救命士によるAEDの使用が認められたこと,さらに2007年7月から一般市民によるAED使用が認められたこと等がある.
特に学校管理下では,教師や養護教員がBLSやAEDを用いて救命した場合,後遺症なく生存する可能性が極めて高い.小児および先天性心疾
患患者におけるICD植込みの多施設共同研究も報告されている379).小児における不整脈治療ガイドライン380),2008年ACC/AHA/HRSガイドライ
ン97)に準拠した小児に対するICD植込みガイドラインを記載する.
不整脈の非薬物治療ガイドライン(2011年改訂版)
Guidelines for Non-Pharmacotherapy of Cardiac Arrhythmias(JCS 2011)