2 催不整脈性右室心筋症/異形成
ClassⅠ:
 1. 心停止,心室細動,あるいは血行動態の不安定な持続性心室頻拍の既往を有する場合
ClassⅡa:
 1. 催不整脈性右室心筋症/異形成と診断され,原因不明の失神を有する場合

 催不整脈性右室心筋症/異形成は,若年における心臓突然死の主要な基礎心疾患として知られている342)-346).しかし,その突然死の予知因子
はまだ十分定まっておらず,我が国でのデータもほとんどない.ICD治療中の催不整脈性右室心筋症/異形成患者132名(心停止例13名,持続性
心室頻拍例82名を含む)を対象としたコホート研究によると,心停止と,血行動態が不安定な持続性心室頻拍の既往がICD適切作動の有意な予知
因子であり,10% /年の頻度で作動していた347).一方,血行動態の安定している持続性心室頻拍例は予後が良かった347).一次予防としてのICD
治療については,1 つ以上の不整脈リスク(失神,非持続性心室頻拍,突然死の家族歴,電気生理検査による心室頻拍・心室細動の誘発)を有す
る催不整脈性右室心筋症/異形成患者106名を対象にICDを植込み,作動状況を検討した前向き研究がある.その結果,失神のみが適切作動の有
意な予知因子であった348).他に著明な右室拡大や左室収縮能低下も不整脈リスクとなるが346),EPSによる予測性は低い347),348).
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不整脈の非薬物治療ガイドライン(2011年改訂版)
Guidelines for Non-Pharmacotherapy of Cardiac Arrhythmias(JCS 2011)