4 心臓再同期療法
 保険適用にあたっての条件として下記の施設基準が定められている(2010年度診療報酬点数表による).

 (1) 循環器科および心臓血管外科を標榜している病院であること.
 (2) 心臓電気生理学的検査を年間50例以上実施している.うち5例以上は心室性頻拍性不整脈症例に対するものである.
 (3) 開心術又は大動脈,冠動脈バイパス術を合わせて年間50例以上実施しており,かつ,ペースメーカ移植術を年間10例以上実施している.
 (4) 体外式を含む補助人工心臓等を用いた重症心不全治療の十分な経験のある施設であること.
 (5) 常勤の循環器科および心臓血管外科の医師がそれぞれ2名以上配置されており,そのうち2名以上は,所定の研修を修了していること.

 以上の施設基準を満たすと同時に,非薬物療法を有効かつ安全に実施するために各施設において人材の育成,設備の充実,そしてシステムの
確立をはかることが不可欠と考えられる.

 我が国では日本不整脈学会が臨床心臓電気生理検査,カテーテルアブレーション,ICD,およびCRT/CRT-Dに関する教育研修セミナーを毎年実
施し,基本的・標準的知識とともに最新の情報を提供している.また日本不整脈学会と日本心電学会が合同で,時代に合った適切な医療が提供可
能な不整脈専門医の認定制度を構築しており,2012年度より運用開始予定である.さらに,日本不整脈学会は「心臓ペースメーカ技師養成セミ
ナー」を開催し,不整脈,電気生理検査,ペースメーカ,ICD/CRT-D,カテーテルアブレーション等に携わる人材を育成するとともに,ペースメ
ーカやICD等のデバイス製造に関わる企業側から専門的医療機器情報サービスを提供するCardiac Device Representative(CDR)の認定証を発行
している.
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Ⅰ ガイドラインの背景および考え方 > 5 非薬物療法の医療条件 > 4 心臓再同期療法
不整脈の非薬物治療ガイドライン(2011年改訂版)
Guidelines for Non-Pharmacotherapy of Cardiac Arrhythmias(JCS 2011)