5 心室期外収縮
ClassⅠ:
 1. 心室期外収縮が多形性心室頻拍あるいは心室細動の契機になり,薬物治療が無効または副作用のため使用不能な場合
 2. QOLの著しい低下または心不全を有する頻発性心室期外収縮で,薬物治療が無効または副作用のため使用不能な場合
 3. 頻発性心室期外収縮が原因で心臓再同期療法の両室ペーシング率が低下して十分な効果が得られず,薬物治療が無効または副作用のた
め使用不能な場合
ClassⅡ a:
 1. 心機能低下を伴うか,または器質的心疾患に伴う流出路起源の頻発性心室期外収縮
 2. 流出路起源の頻発性心室期外収縮で,薬物治療が有効または未使用でも患者がカテーテルアブレーション治療を希望する場合

 心室期外収縮が契機になり多形性心室頻拍や心室細動が誘発され223),224),その心室期外収縮をアブレーション治療することにより多形性心室
頻拍や心室細動の発生が予防できる225).また頻発性心室期外収縮は心機能低下を惹起する可能性があり226),心室期外収縮アブレーションによ
り心機能低下やそれに伴う症状を改善できる227),228)

 心臓再同期治療は心不全治療において重要な役割を担っているが,頻発性心室期外収縮により両室ペーシング率が低下することによりその効
果が制限されるため,期外収縮の治療はペーシング率を上げることにより心機能を改善する229).これらのような状況における心室期外収縮アブ
レーションは心臓突然死や心不全の治療に直結し,アブレーション治療が果たす役割は大きい.

 流出路起源の頻発性心室期外収縮例や心機能低下例において心室期外収縮を放置した場合,将来的な心機能低下を招く可能性が報告されて
おり230),アブレーション治療の適応が考慮される.なお,頻発性心室期外収縮が心不全を惹起するか,心不全の症状として心室期外収縮が発生
するかは未解決ではあるが231),頻度が高い程心機能が低下する傾向がある230),232),233)
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Ⅳ カテーテルアブレーション > 5 心室期外収縮
不整脈の非薬物治療ガイドライン(2011年改訂版)
Guidelines for Non-Pharmacotherapy of Cardiac Arrhythmias(JCS 2011)