4 上室性頻脈性不整脈に対する房室ブロック作成術
ClassⅠ:
 1.重篤な症状あるいは頻拍による高度の心機能低下を伴う,薬物治療が無効または副作用のため使用不能な上室性頻脈性不整脈で,上室性
      不整脈に対するカテーテルアブレーションが不成功または施行できない場合
ClassⅡ a:
 1.QOLの著しい低下を伴う,薬物治療が無効または使用困難な上室性頻脈性不整脈で,上室性不整脈に対するカテーテルアブレーションが不
      成功または施行できない場合
ClassⅢ:
 1.房室伝導を温存した方が有益だと考えられる場合

 上室性頻脈性不整脈に対するカテーテルアブレーションが成功した場合には房室ブロック作成術は不必要であるが,カテーテルアブレー
ションが不成功であった場合や何らかの理由により実施が困難な場合に考慮すべき治療法である.特に頻脈による心機能低下や心不全の悪化が
考えられる場合には,房室ブロック作成術による心室拍数コントロールが必須となる221).しかし,この治療法では恒久的ペースメーカを植込
む必要のあること,また心室ペーシングによる非同期収縮が心室リモデリングやさらなる心機能低下を引き起こす可能性のあることを十分に理解し
ておくべきである.最近,慢性心不全に合併した永続性心房細動に対する房室ブロック作成術と心臓再同期療法の有効性が報告されており222)
重度の心不全合併例では考慮すべきであろう.房室結節の遅伝導路を焼灼して房室伝導能を低下させる治療法(房室伝導修飾術)も試みられて
いるが,心室拍数コントロールが不十分なこと,心拍の規則性が得られないことより,房室ブロック作成術+ペースメーカ植込み術が選択される.
なお先天性心疾患の術後の症例に,心室ペーシングにより著しい血圧低下を認める場合があるため,あらかじめ検討することが望ましい.
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Ⅳ カテーテルアブレーション > 4 上室性頻脈性不整脈に対する房室ブロック作成術
不整脈の非薬物治療ガイドライン(2011年改訂版)
Guidelines for Non-Pharmacotherapy of Cardiac Arrhythmias(JCS 2011)