◆ WPW 症候群
ClassⅠ:
1. 生命の危険がある心房細動発作または失神等の重篤な症状や,軽症状でもQOLの著しい低下を伴う頻拍発作の既往がある場合
2. 早期興奮の有無にかかわらず,頻拍発作があり患者がカテーテルアブレーションを希望する場合
3. 早期興奮があり,頻拍発作はないがパイロットや公共交通機関の運転手等,発作により多くの人命に関わる可能性がある場合
ClassⅡa:
1. 早期興奮があり,頻拍発作はないが説明を受けた上で患者がカテーテルアブレーションを希望する場合
◆ 房室結節リエントリー性頻拍
ClassⅠ:
1. 失神等の重篤な症状やQOLの著しい低下を伴う頻拍発作の既往がある場合
2. 頻拍発作があり,薬物治療の有無にかかわらず患者がカテーテルアブレーションを希望する場合
ClassⅡa:
1. 頻拍発作の心電図が確認されている患者で,電気生理検査で頻拍が誘発されず二重房室結節伝導路のみが認められた場合
2. 他の頻拍に対する電気生理検査またはカテーテルアブレーション治療中に偶然誘発された房室結節リエントリー性頻拍
ClassⅡb:
1. 頻拍発作の心電図が確認されていない患者で,電気生理検査で頻拍が誘発されず二重房室結節伝導路のみが認められた場合
ClassⅢ:
1. 頻拍発作の既往のない患者において,電気生理検査中に二重房室結節伝導路が認められるが,頻拍は誘発されない場合
WPW症候群(房室回帰頻拍を含む)や房室結節リエントリー性頻拍に対する高周波カテーテルアブレーションの治療効果は著しく146)-158),我
が国においても急速に普及した159)-162).対症療法である薬物療法とは異なり,カテーテルアブレーションは根治的治療法であり,患者のQOL改
善度においても医療経済的視点においてもより優れた治療法であると言える.現在では症状のある患者に対する第一選択治療として用いられるこ
とが多い.
WPW症候群では,初回発作で多くの人命に影響を及ぼす可能性のあるパイロット等の特殊な職業人に対しては,無症状であってもハイリスク
群(参考値:心房細動時の最短RR時間≦ 220msec,副伝導路有効不応期≦250msec)と考えられる場合には,その社会的適応について十分
考慮する必要がある.顕性WPW症候群においては,成功率が95%程度と高く,再発率も5%程度,また合併症は1~ 2%と低いことを考慮する
と,症状のない症例に対して十分に合併症の説明をしてもなお患者が希望する場合は治療の有用性は高いと考えられる.
房室結節リエントリー性頻拍に関しては,完全房室ブロックとペースメーカ植込みの合併症が1~ 2%あることを含めて十分な説明を受けた上で,
患者がカテーテルアブレーションを希望することが必要である.
不整脈の非薬物治療ガイドライン(2011年改訂版)
Guidelines for Non-Pharmacotherapy of Cardiac Arrhythmias(JCS 2011)