7 小児における特殊性
 小児におけるアブレーションは,成人で適応とされる不整脈に対する有効性を認識して適応を考慮するとともに小児の特殊性を考慮する必要がある
259),260).適応例には先天性心疾患合併例261),262)およびインセサント型頻拍で頻拍誘発性心機能障害合併例263)等の重症例が多い.アブレーショ
ン部位が中隔である場合の房室ブロックの頻度は成人よりも高い264)が,近年の報告では,乳児期においても安全性,合併症の頻度は成人と差が
ないことも報告されている265)-267).器質的心疾患のない乳児の頻拍は高率に自然軽快が期待できる268)-271)が,先天性心疾患合併例では自然
軽快が少なく272),術後不整脈は手術成績に大きく影響する273).これらの特殊性から先天性心疾患および小児アブレーションを熟知した医師が施行
することが望ましい.

Class Ⅰ:
 1. 突然死ニアミスおよび失神の既往があるWPW症候群,心室頻拍274)
 2. 頻拍の持続により心室機能が低下した上室頻拍,心室頻拍
 3. 血行動態の異常を伴う薬物治療抵抗性心室頻拍
ClassⅡa:
 1. 薬物治療抵抗性で,再発性もしくは症候性の上室頻拍275),276)
 2. 先天性心疾患に伴う頻拍症例(特に術後にカテーテル操作が困難となる場合)
 3. インセサント型上室頻拍
 4. 心房内リエントリー頻拍277)
 5. 動悸のある患者で,心臓電気生理学的検査により上室頻拍が誘発される場合
 6. WPW症候群で自然歴や合併症を考慮した上でカテーテルアブレーションを希望する場合
ClassⅡb:
 1. 薬物が有効な上室頻拍278)
 2. 再発性もしくは薬物治療抵抗性およびアブレーション無効の心房内リエントリー性頻拍に対する房室接合部アブレーションとペースメーカ植込み
   (経験数の多い施設への紹介も考慮する)
 3. 薬物が有効であるが血行動態の異常を伴う心室頻拍
 4. 非持続性心室頻拍および非持続性上室頻拍
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Ⅳ カテーテルアブレーション > 7 小児における特殊性
不整脈の非薬物治療ガイドライン(2011年改訂版)
Guidelines for Non-Pharmacotherapy of Cardiac Arrhythmias(JCS 2011)